ウールは、古くから人々の暮らしを支えてきた、もっとも身近な天然繊維のひとつです。一時は"冬の防寒具"としてのごわついた印象が先行していましたが、原毛の選定や紡績技術の進歩により、今では、空気のように軽やかで、肌にやさしく寄り添う素材へと進化しています。
その特性に最も早く着目したのは、過酷な環境で活動する人々でした。寒暖差や乾燥、発汗など、複雑に入り交じる気象条件のなかで、ウールは“ファーストレイヤー”としての信頼を獲得し、アウトドアやミリタリーの現場でも、長く支持されてきました。
私たち佐藤繊維は、90余年以上にわたり、ウールという素材と真摯に向き合ってきたファクトリーです。その年月の中で培ってきた知見や技術を、もっと日常的なやさしさのかたちにできないか——そう問い続けるなかで、たどり着いたのが「アンダーウェア」という選択でした。
肌にもっとも長く、密接に触れている衣服。それがインナーです。毎日を過ごす中で、気分や体調にさえ影響を与える存在だからこそ、ウールの本質的なやさしさを、ダイレクトに伝えるのにふさわしいと、私たちは考えました。
さらに、私たちは「あえてニットで仕立てる」というアプローチを選びました。やわらかく身体に沿い、締めつけすぎず、肌の動きに呼応する伸びやかさ。そこに、縫い目のストレスを軽減するシームレス技術を融合することで、より快適で、負担の少ない着心地を追求しています。
朝、自然と手が伸びる。袖を通した瞬間に、肌がほどけるようにゆるむ。そんなささやかな体感の中に、ウールのやさしさが息づいている——それが、私たちが描く「豊かさある日常」のかたちです。